ROHMのマイコンでLチカをしてみた!
※Lチカとは、LED点滅を指します。
ROHM社のStarter Kit(型番:SK-BS01-D62Q1577TB)を購入し、統合開発環境 LEXIDE-Ω(以下、LEXIDE-Ω)とコード生成ツール Code Generation Tools (以下、Code Generation Tools)を使用して、入社してから1年半の新人FAEが、ML62Q1577-TQFP100のLEDの点滅プログラム、本記事を作成しました。
使用するマイコン(ML62Q1577-TQFP100)は、16bitの汎用的なマイコンに位置します。
購入したStarter Kitには、リファレンスボードを動かすために必要なものがすべて含まれているため、初心者でもこのStarter Kitを用意すれば簡単に始めることができます。
このコラムを通して、ROHMのマイコン、開発環境を触ったことのない人でも簡単に動かすことができることをご理解いただければ幸いです。
目次
開発準備編
プロジェクト作成編
プロジェクト実行編
お問い合わせ
開発準備編
1章 PC環境、ツールを整える
今回使用する環境、ツールは以下の通りです。
使用するソフトウェア
Starter Kitやオンチップエミュレータをご購入された方は無償でダウンロード可能です。
- 統合開発環境
LEXIDE-Ω Ver2.0.0
- Code Generation Tools Ver4.0.0
ML62Q1000 スタートアップ設定ツール Ver2.10
ML62Q1000 ペリフェラル設定ツール Ver2.30
使用するハードウェア
Starter Kit に同梱
- リファレンスボード
RB-D62Q1577TB
- オンチップエミュレータ
EASE1000 V2
- インタフェースケーブル、USBケーブル
使用するS/W 入手先はこちら
汎用マイコン (16bit) – 製品検索結果 | ローム株式会社 – ROHM Semiconductor
- 統合開発環境について
URLのページの”Support Content”→”LAPIS Development Tools LEXIDE-Ω”からダウンロードが可能です。
- Code Generation Toolsについて
URLのページの”Support Content”→”LAPIS Code Generation Tools”からダウンロードが可能です。
※ダウンロードには、オンチップエミュレータのシリアルコードとMyROHMへのログインが必要になります。
【新人FAEのワンポイントアドバイス】開発環境について
ダウンロードした開発環境は、評価だけでなく量産品の開発にも使用できます。
そのため、評価キットの購入のみで開発が可能です。
プロジェクト作成編
2章 新規プロジェクトを立ち上げる
この章では、LEXIDE-Ωを起動し、プロジェクトを新規作成する手順を解説します。
- WindowsのスタートメニューからLAPIS LEXIDE Tools→LEXIDE-Ωを選択し、ワークスペースを設定します。
- LEXIDE-Ωを起動したら、”File”→“New”→“Project”を選択します。
- New Projectダイアログで、”C Project”を選択します。
- C Projectダイアログで、”Project name”にプロジェクト名を入力し、
Project type欄から”Executable(LAPIS)”→”Empty Project”を選択します
Toolchains欄から”U8/U16 LLVM Toolchain(LAPIS OMF)”を選択します。
- Select Configurationsダイアログで”NEXT”を選択します。
- Select U8/U16 Deviceダイアログで、以下を選択します。
Category:ML62Q1000
Group :ML62Q1500
LSI :ML621577を選択後、”Finish”を選択します。
- 最後に、作成されたプロジェクトの中からスタートアップファイル(今回は、ML621577.ASM)を削除します。
これでCode Generation Toolsで初期設定を行う準備ができました。
3章 Code Generation Toolsで初期設定を行う
この章では、Code Generation Toolsを使用し、初期設定、周辺機能設定を行います。
- WindowsのスタートメニューからLAPIS Code Generation Tools→
ML62Q1000スタートアップ設定ツールを選択し、起動します。
- 起動したら”新規プロジェクト”を選択し、ML62Q1577 256K 100 TQFP100を選択します。
- プロジェクトファイルを保存する画面に移行するので、プロジェクトファイル名を入力し、
2章で作成したプロジェクトフォルダの下に保存します。
- 今回は変更は行わず“ソースファイルの生成”を選択し、ソースファイルを生成します。
これで初期設定が完了しましたので、次は周辺機能設定を行います。
- WindowsのスタートメニューからLAPIS Code Generation Tools→
ML62Q1000ペリフェラル設定ツールを選択し、起動します。
- 起動したら、先ほどと同様に”新規プロジェクト”を選択し、ML62Q1577 256K 100 TQFP100を選択します。
- プロジェクトファイルを保存する画面に移行するので、プロジェクトファイル名を入力し、
2章で作成したプロジェクトフォルダの下に保存します。
- 下図のように設定を行い、“ソースファイルの生成”を選択し、ソースファイルを生成します。
これでCode Generation Toolsで初期設定が完了しました。
4章 LEXIDE-Ωでソースコードを書き込む
この章では、LEXIDE-Ωを起動し、ソースコードを書き込む手順を解説します。
- 作成したプロジェクトファイルの”lcgu_src”→”lcgu_main.c”を開きます。
- 「s_initUser()」の下に「timer0_start()」を記載します。
- ”lcgu_src”→”lcgu_timer0.c”を開きます。
- 「void lcgu_procTimer0Int(void)」の下に「P20DO = ~P20DO」を記載します。
これでソースコードを書き込むことができたので、次の章でビルドを行っていきます。
5章 作成したプロジェクトをビルドする
この章では、LEXIDE-Ωで作成したプロジェクトをビルドする手順を解説します。
- LEXIDE-Ωのメニュー欄から、”Project”→“Properties”を選択します。
- ”C/C++Build”→”Settings”→”Compiler”→”Includes”を選択します。
- “Add directory path”アイコンをクリック後、“Workspace”を選択します。
- Folder selectionダイアログでフォルダーを選択し、”OK”をクリックします。
今回は、”driver”→”inc”フォルダーと”lcg_src”フォルダー、”lcgu_src”フォルダー
を複数選択します。
- ”Apply and Close”を選択します。
- LEXIDE-Ωのメニュー欄から、”Project”→“Build Project”を選択し、作成したプロジェクトをビルドします。
これで作成したプロジェクトをビルドすることができました。
デバッグ編
6章 作成したプロジェクトをデバッグする
この章では、LEXIDE-Ωで、ビルドしたプロジェクトをデバッグする手順を解説します。
- リファレンスボードとエミュレータ、PCを接続します。
- ツールバーから”Debug”を選択し(下図①)、デバッグの対象を選択(下図②)、デバッグボタン
をクリックします(下図③)。

- Confirm Perspective Switchダイアログが表示されるので、”Switch”をクリックするとデバッグ画面に移ります。
- デバッグ画面に移ったら、ツールバーのResumeボタン
をクリックします。
制作したプログラムが実行され、リファレンスボードのLEDが点滅します。
これで作成したプロジェクトをビルドすることができました。
新人FAEの初めて触った感想
- コード生成ツールのスタートアップ設定ツールとペリフェラル設定ツールが分かれていたことに少し苦戦しました。
- 開発環境やコード生成ツールのマニュアルが日本語で書かれていて読みやすかったです。
会社概要
- 会社名
- ローム株式会社
- 設立
- 1958年
- 所在地
- 京都